著:内田順子(なおこ)、日系ブックストア・ボランティア
「大人買い」ってご存知ですか。子どものころはできなかったけれど、大人になった今ならできる、マンガを全巻まとめて買うことです。バンクーバーに居ながら大人買いができる、全巻揃ったマンガ作品をご紹介します。たくさんあるので、今回は少年・少女マンガに限定して、ほんの一部を選びました。
少年・少女マンガがおすすめな理由
少年・少女向けマンガは、小学校低学年から読めるよう、まだ学校で習っていない漢字や難しい熟語には、ほぼすべてふりがなが付いています。日本語学校で漢字に苦戦しているけれど、もう絵本では物足りない——そんなお子さんの日本語離れ防止にぴったりです。同じ理由で、外国語として日本語を学んでいる方にもおすすめしています。


ハロルド作石『BECK(ベック)』全34巻
1999年から2008年まで『少年マガジン』で連載された、ロックバンドを題材にした少年マンガ。音そのものは描けないのに、演奏中の表情、観客の反応、会場の空気、ギターの描写など、音楽を絵で表現するのがうまい作品です。作中には実在のミュージシャンや名盤へのオマージュもたくさん登場するので、1990年代末〜2000年代のロックカルチャーを知るきっかけにもなりそうです。

安達充『ROUGH』全12巻
1987〜1989年に『週刊少年サンデー』で連載された、あだち充の青春マンガです。あだち充といえば、80年代青春マンガの王道。『ROUGH』は水泳を題材にしつつ、競技の勝敗そのものより、スポーツを背景に、登場人物たちの関係や日常をじっくり描いています。

高橋由紀『われら混線合唱団』全7巻
1989〜92年に『花とゆめ』で連載された少女マンガです。当時の『花とゆめ』は、王道の乙女ちっく路線とは一線を画し、ギャグ、SF、なんでもありの攻めた作品が並ぶ雑誌でした。本作も、合唱部マンガかと思いきや、実際には個性的な美少年たちによる、かなりぶっ飛んだ学園ラブコメです。

高屋奈月『翼を持つ者』全6巻
1995〜98年に『花とゆめ』で連載された、近未来SF少女マンガです。戦争で荒廃した22世紀を舞台に、元盗賊の少女と元軍人の青年が、「どんな願いも叶える」という謎の存在「翼」を探します。荒廃した未来、軍事政権、貧富の格差、謎の超常現象と、なかなかのてんこ盛り。実はSFは昔から少女マンガの重要なジャンルなのです。恋愛だけではない、少女マンガの懐の深さを感じられる作品です。
