Three layers of bookshelves packed with Japanese manga books.

 日系ブックストア・なおこさんのマンガ紹介: パタリロ

著:内田順子(なおこ)、日系ブックストア・ボランティア

ここになぜこんなに『パタリロ!』が? 最初の1、2、4、5、6巻こそないものの、3巻と7~79巻まではすべて揃っています。さらに『家政婦はパタリロ!』『パタリロ西遊記!』などのスピンオフまで。いったいどんな経緯で、ここバンクーバーに持ち込まれたのでしょう。

魔夜峰央の『パタリロ!』は、1978年に『花とゆめ』で連載が始まり、掲載媒体を変えながら現在まで続く、かなり異色のギャグマンガです。主人公パタリロは10歳の独裁者。そのボディガードを務めるバンコランと、その恋人マライヒによる男性同士の恋愛が重要な要素となっていますが、同性愛を特別なテーマとして扱うのでもなく、むしろそっちが普通でしょという世界で物語が展開します。

基本的には一話完結なので、途中の巻からでも、全巻揃えなくても楽しめます。長く続くうちに、内容も初期の国際スパイものから、SFやタイムトラベル、ミステリーや怪奇、そして魔界・オカルトまで、大きく変化しています。少しでも多くの方に手に取っていただけるように、単に「ギャグ漫画」には収まらない『パタリロ!』の変遷を、区分ごとにご紹介します。

参考資料: 『パタリロ!』コミックスデータ(https://patalliro-databank.com/comics-data-top/

“Patalliro! is an unconventional gag manga by Mineo Maya that began in 1978, featuring a ten-year-old dictator and a world where same-sex relationships are nothing special—they’re simply the norm. Still running today, the series has expanded over its long run into a wide range of genres, including international spy thrillers, science fiction, detective mysteries, horror, parody, and the occult.

Nikkei Bookstore has almost every volume from 3 through 79. We even have spin-offs like “Kaseifu wa Patalliro!” and “Patalliro Saiyuki!”. With most of its stories being standalone, “Patalliro!” is easy to pick up at almost any point—even if you happen to start with volume 37.

A Recommendation for Language & Translation Enthusiasts
“Patalliro!” has never received an official English manga release (though anime adaptations exist). Due to its heavy reliance on Japanese puns, wordplay, and cultural references, translating it into English can be particularly challenging. In fact, it was even selected as a test piece for the 7th Manga Translation Contest hosted by the Japanese Agency for Cultural Affairs in 2018. If you’re interested in Japanese-to-English translation, try asking yourself, “How would I translate this joke into English?” as you read. It adds a fascinating extra layer of enjoyment.

3~19巻:メインキャラが中心の国際スパイもの

ハードボイルドなサスペンスの中に、パタリロの破天荒なギャグや超科学アイテムが乱入します。

20~30巻:ジャンルの枠を超えたドタバタ期

SFや本格ミステリー、オカルト要素がごちゃ混ぜになり、パタリロのトンデモ発明と奇天烈な事件がさらに勢いを増す賑やかな時期です。

31~40巻:ジャンルの振幅がさらに大きく

パタリロ以外のキャラが主役のエピソードが増えて、タイムトラベル、妖怪、殺人事件、SF、学園ものなど、取り扱うジャンルの幅が一気に広がっています。

41~68巻:一話完結が多いドタバタコメディ

読み切り形式のエピソードが増え、ダジャレやロボット、宇宙人に怪奇ネタまで、どんな題材でもありな時期です。

69~79巻:怪奇・オカルト色が強いディープな独自路線

舞台はさらに広がり、魔界やオカルトめいた事件が頻発。最新科学と超常現象が当たり前のように共存しています。

最後に、翻訳という視点からのおすすめポイント

この紹介文を書くために『パタリロ!』について調べていたところ、本作には現在まで公式の英訳版が出ていないということを知りました(アニメは存在します)。ダジャレや言葉遊びの多さから、英訳するのが難しいようです。実際、文化庁による2018年の第7回マンガ翻訳コンテストの課題作品にもなっています。マンガの日英翻訳に興味がある方なら、「自分ならどう訳す?」と考えながら読むのもおもしろいかもしれません。