著:内田順子(なおこ)、日系ブックストア・ボランティア
新学期が始まり、土曜日のブックストア周辺は日本語学校に通う生徒さんや保護者の方の往来で、活気が8月とは全然違います。
可愛いなあ、微笑ましいなあと、うっとりする反面、かつて同じ道を通ってきた者としては、30分、1時間、はたまた2.5時間と刻んでくるお子たちのスケジュールに合わせ、ひたすらポイントAからBへの送り迎えと現場待機を繰り返し、ああ仕事は山ほどあるのにもう夜か、夕飯どうしよう……という馬車馬の日々に思いを馳せてしまいます。今はまだ、これが一体いつまで続くのかと思うかもしれませんが、トンネルの出口は、急に開けますから。頑張って!へとへとな大人たち!
日系ブックストアには、かつて馬車馬の日々に私もお世話になった名著が揃っており、そうそう、これいい本よねえ、と共感しながら眺めています。そこで今回は、いろいろな角度からためになった本をご紹介します。


『子どもへのまなざし』佐々木正美 著
名著の中の名著、『子どもへのまなざし』が2冊あります。バンクーバーの母たち、さすがお目が高い。思えば私も、バンクーバーで有志のお母さん同士が集まって開催していた絵本の会で、先輩ママさんに教えてもらって読んだのが最初でした。その後、人にあげてはまた買い直すことを繰り返した本です。
本書の何が良いって、子どもにはもちろんですが、それ以上に、子どもたちを守り育てている保護者や保育者へのまなざしが、とにかく温かく、優しいのです。
子どもは新しい冒険に出るとき、ふと不安になって必ずこちらを振り返る瞬間があります。そして、挑戦を成し遂げたときにもまた、子どもは振り返ります。振り返ったその先にいること、大人がするのはそれだけでいい、という。ううう、これに何度励まされたことか。育児の本はこれ一冊と、あとはカリール・ジブランの『こどもについて(On Children)』という詩を冷蔵庫に貼っておけば、もう大丈夫でした。

『笑う出産』『笑う出産2』『出産育児どーするどーなる百科』『アトピー息子』まついなつき
たまたま揃っていたので、このシリーズを挙げましたが、これに限らず、当事者たちのぶっちゃけエッセイ本は、よく友達から回ってきて読みました。参考になる、というよりも、むしろ足りてないことの話を見て、ああこれ、うちだけじゃなかったんだって安心できる感じ。「こうすれば、こう育つ」的な本が逆にしんどいときもあるので。
紙が厚い大型の絵本
絵本は大型が良い、というわけではなく、重い大型本は日本で買って持ち帰るのが大変なので、バンクーバーで買えますよ!というご紹介です。絵本は小さい/大きい、厚い/薄い、重い/軽い、繰り返しの面白さ/展開する物語などなど、それぞれの形式が、効果の違う「媒体」だと思います。メディアミックスというか、いろいろな種類に触れさせておきたいのが親ごころ。
大型本は、大人が一緒に座って、机や膝に広げて一緒に眺めながら読み聞かせるのに適しています。紙が厚いと単純に破れにくいので、自分で本を触りたい、めくりたい、ひねりたいという、テクスチャー発見期にヘビロテした記憶があります。

この『世界名作★イソップ・グリム・アンデルセン』は、オールカラーの絵がきれいなのと、文字がかな漢字混合文でふりがな付きなのがいいと思いました。
日本語学校で漢字に苦戦するのは覚悟していたのですが、最初の難関がカタカナというのは予想外でした。実は、漢字の方が象形文字として形から意味を推測しやすく、記憶に残ると聞きました。そして、もとは漢文を日本語として読むための補助として発明されたカタカナは、 漢字の偏やつくりなどの一部から作られています。だから、漢字を見たことがあるという体験が、後で役に立ったりするのです。
