日系ブックストア・なおこさんのおすすめ本 「歴史もの」

著:内田順子(なおこ)、日系ブックストア・ボランティア

歴史もの、どんだけあるのだ。

日系ブックストアにある本はすべて、みなさんが読み終わった本を持ち寄ってくださったもの。ということは、この歴史ものの多さ、それだけ好きで読んでいる人がいるということですよね。

ひとくちに「歴史もの」といっても、日本・海外を含め、時代もテーマもいろいろ。史実を知る楽しさはもちろん、作家がそこにどんなテーマや思いを重ねて物語にしているのかを味わうのも面白いところです。同じ歴史でも、書かれた時代によって見えてくるものが違うのも、古本ならではの味わいかもしれません。

歴史もの好きの方も、これから挑戦してみたいという方も、ちょっと棚を覗いてみませんか?

司馬遼太郎

「日本とは何か、日本人とは何か」という問いを持ち、幕末や明治期といった時代の大きな変わり目を生きた人々を描いた作家です。そこには、時代に葛藤しながら国や社会を動かしていった人物たちの姿があります。

『竜馬がゆく』『坂の上の雲』『翔ぶが如く』『国盗り物語』などの長編のほか、『燃えよ剣』上下も揃っています。一冊で読み切れる短編集や紀行文もいくつかあります。

池波正太郎

江戸の人々の暮らしや美学、人情、食、仕事ぶりなどを生き生きと描く作家です。会話が多くテンポよく読めるので、時代小説をあまり読まない人にもおすすめ。特に食通としても知られ、実在する老舗や料理についてもたくさん書いていますので、次の日本旅行の参考にもなるかも?

池波正太郎の人気シリーズ『剣客商売』『鬼平犯科帳』のほか、全12巻の長編歴史小説『真田太平記』や、一冊で読み切れる短編集もあります。『男の作法』というコンパクトな一冊は、池波正太郎が天ぷらの食べ方から仕事、人付き合いなどの美学を語った随筆です。

藤沢周平

近年も映画化が続いている藤沢周平は、江戸の町や藩の片隅で生きる普通の人々を静かに描く作家です。派手な英雄譚ではなく、名もない人々の暮らしや葛藤、人情に光を当てているところが魅力です。

『義民が駆ける』『市塵』上下などの歴史小説、『長門守の陰謀』『ささやく河』などの時代小説のほか、『小説の周辺』という随筆もあります。

舟橋聖一『新・忠臣蔵』全8巻

棚に収まり切れず箱に入れてある本の中に、1999年のNHK大河ドラマ『元禄繚乱』の原作、舟橋聖一『新・忠臣蔵』を発見。

おなじみの赤穂浪士の物語を、大石内蔵助だけでなく、浪士たちそれぞれの動きや心理を丁寧に追った大長編です。文庫版全8巻、すべてそろっています。

平岩弓枝

江戸の町の人情を描く時代小説から、結婚や家族、女性の生き方を描く現代小説まで、人の暮らしを丁寧に描いた作家です。

時代小説では、『はやぶさ新八御用帳』シリーズ、「御宿かわせみ」シリーズ(『江戸の子守歌』、『酸漿(ほおずき)は殺しの口笛』)などがあります。現代小説では、『結婚の四季』、『結婚のとき』、『伴侶の死』、『女の顔』、『女の河』、『女の家庭』などがあります。

北方謙三『水滸伝』全19巻

北方謙三の『水滸伝』、1巻から19巻まで全部あります。中国の古典『水滸伝』を、北方謙三が大胆に再構成した大長編です。

ポイントは、単なる古典の現代風アレンジではないところ。梁山泊に集まった豪傑たちが、個性的な「英雄」ではなく、信念や葛藤を抱えたリアリティのある人間として描かれ、「国を変える」という大きな目的を持った集団の物語に仕立てられています。

山本周五郎『樅ノ木(もみのき)は残った』上下

Free(ご自由にお持ちください)のカゴの中に、『樅ノ木は残った』を発見。上中下の中がなく、上が1冊、下だけが2冊あるためですが、足りない分は電子書籍でも読めます。

仙台藩のお家騒動「伊達騒動」を題材に、藩を守るためにあえて「逆臣」の汚名を着る原田甲斐を描いた大長編。歴史上では悪役とされてきた人物を、藩を守るために奔走する知られざる英雄として描き直しています。1970年のNHK大河ドラマの原作です。